●2008年12月の風月譚 
エドワード・W・サイード



 今年も残すところ一月となりました。
2008年は皆さんにとって如何な年でしたか?
(12月中に何が起きるかわかりませんが・・)
私なりに今年感じたことを列記してみますと:

・ 地球温暖化/環境破壊に加速度がついたこと
・ アメリカの虚像金融工学なるものが本性を顕す
・ 米国に黒人大統領の出現
・ 日本の無差別殺戮社会と政治の荒廃
・ 北京オリンピックと400メーターリレー銅メダル

などが挙げられます。
特に黒人以外で最も短距離に強いのは日本人と言うのも、驚きであります。
バトンリレーをミスした強国がありましが、長く記録に残ることと言えます。

私にとってこの3月NHKのBSで「世界のダンデイズム」なる番組が放映され、
今の時代に最もダンデーなる人物は誰かと言う番組で、標記エドワード・W・サイード
なる人物が選ばれましたことが深く心に残る事となりました。
この最終選択にいたる経緯を簡単に述べますと、

『分野』 『推薦者』        『候補者』
・音楽  「ピーター・ドラカン」  マービン ゲイ、マイルス デービス
・映画  「佐野 四郎」      マルチェロ マストロヤンニ、佐分利 信
・芸術  「鹿島 茂」       サルバトーレ ダリ、アメリオ モリジアニ
・政治思想「姜 尚中」       チェ ゲバラ、後藤 新平
・文学  「高橋 源一郎」     金子光春、吉行淳之介

以上5分野から数名候補が挙がり、第一次予選の中に入っていなかったのですが
姜 尚中(東大大学院教授)推奨のエドワード・W・サイードが最終的にダンデイズム
の最高峰に選ばれました。

私は残念ながら、この人の名前を聞いたことも無く何故彼が選ばれたのか全く思い
当たるところが無かったので、NHKに聞いてみました所「世界に理解されていない
パレスチナの問題を世界の人々に知ってもらいたいという尽力が評価された」という
ことでした。私が、彼が世界のダンデイズムNO1と言っても自分自身の言葉で
語れなければ、5人の選者と共有する物はゼロでしかありません。
早速、ネットで書物を調べ4冊ほど買い手にする順に読んで見ました。
全てが全く理解できないしろものでした。
何せ、読んでいる内容を収斂させようとするのですがどんどん拡散してしまい自分を
見失うこととなりました。

 それと本を読む順番が悪かったようで、彼の大書「オリエンタリズム」を5冊目として
購入したのですが、先ず入門書として最初に読んでいれば、それなりに理解できた
ような気がいたします。彼は、アメリカの市民権を持つアラブ系パレスチナ人です。
歴史的に白人が非白人に対し絶対的優位性を持ち、白人の価値観で非白人を
教育育成する姿勢に立ち向かおうとした人であることは明らかであります。
それと18世紀、19世紀、20世紀のイギリス・フランスの帝国主義、植民地主義の
進捗とアラブ諸国インドなど各国の現代国家の有り様など幅広く知識が行き渡って
いることを感じます。かれの提唱する「一国二制度」はイスラエルとパレスチイナの
現実的解決に役たつものと考えられますが、私が理解出来ない文脈の中で、常に
彼が[ Alternative(代替案)]を模索する思考態度がダンデイズムNO1に繋がったの
ではないかと感じております。更に、「知識人」の使命役割についても言及して
おります。知識人は時の権力に阿(おもね)ることなく、思想信条にこだわる事無く
普遍性も求め、信念を曲げないことが必要のようであります。
信念を開示する人々を多数見ますが、異なる思想信条の持ち主を理解しようと
しなければ、それは頑迷な進歩の無い考え方に終始していると言えます。

 最近、日本には大学院なるものが雨後のたけのこのように乱立しております。
そこには、教授・準教授なる人が沢山いるようですが(大学院はそれなりの「重さ」
のある所と思っているのですが)大學からトコロテン式に持ち上げられたレベルで
あれば、大學そのもののレベルが問題となります。
何か、輝く思考とか未来に対するあり様など知識人の人々に期待して止まないの
ですが、余り先行き明るくないなーと感じております。
他方、彼の知識人の引用している書籍の量は驚くばかりで、我々日本人には
理解しずらい、特にキリスト教、イスラム教に至っては生まれ変わらなければ
理解出来ないなーと感じております。私のダンデイズムの言葉の持つイメージは、
先ず外観上「かっこ良い」事で、チェ・ゲバラが最適であろうとおもっておりました。
彼は武力での解放を心ざし世界中に今も余韻を残しておりますが、サイードは
考える事、相手を理解する事の大切さを残した事でNO1になったとしたら、
もっともっと彼の残した書籍を読み直して見ようと思います。戦争の無い平和な
世界はどうしたら出来るのか、彼は答えを示さなかったですが、我々の心に
宿題を残したようです。

P/S
中学校の卒業50周年の会合に参加する機会を得ました。
半世紀の長さを感じたのですが、あの時の個々人のバックボーンは今も変わら
ないですね。
小さいながら憧れていた人は今も「高根の花」でした・・
雪降る札幌の町は思い出の街です。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
  
このコラムに対するご意見・ご感想の宛先は  stsuchid@ecos21.com
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


2008年
11月 100年に1度の恐慌と物の理(ことわり)
10月 鷹の台
9月 北京オリンピック雑感
8月 今年の甲子園・第90回全国高校野球大会
7月 東邦薬品(株)松谷 義範 さん
6月 節穴からのイタリア見聞
5月 大阪 適塾・
4月 文明半開か・・・
3月 沈黙の螺旋(スパイラル)
2月 アメリカについて 三題
1月 2008年は中国の年?/くたばれ巨人軍


2007年

12月 2007年を振り返って
11月 忘 八(くつわ)
10月 ローマ人の物語(塩野七生著)
9月 出世の心得
8月 4年振りのマレーシア
7月 盛夏に向かって
6月 半世紀の時間
5月 ボストンのある一面
4月 4月は新年度
3月 四季の変化
2月 これは「美しい国」のやることか
1月 平成19年 新しい年を迎えて


  2006年

12月 一犬虚に吼えれば、万犬実を伝う
11月 この国の歪んだかたち
10月 2×125乗≒無限大
9  5年と5ヶ月
8月 イランそして「ペルシャのめぐみ」
7月  戌年の前半6ヶ月
6月  高山定美さん
5月 札幌への思い入れ
4月 「西宮」について
3月 谷口直之君の退職記念出版に際して
高校時代 と その後・・・
2月 GOOD BYE Mr.CHIPS(チップス先生さようなら)
1月 新しい年 平成18年

2005年

12月 酉年を振り返って
11月 トンカット・アリと6年
10月 NHKラジオ深夜便
9月 智と徳
8月 終戦60年-怒りそして悲しみと苦しみの中で
戦争遺児として私の一言
7月 上期4題
6月 椿ちゃんは2歳
5月 25回目にあたって
4月 4月は新たな出発の月=私の高校時代=
3月 故郷 札幌 昭和30年頃まで
2月
雪池忌によせて
1月 酉年にあたって

2004年

12月 平成16年を振り返って
11月 書物は知識の源泉
10月 故 野中 孝一さんと「SPIN トレーニング」
9月 ハインリッヒの法則(1:29:300)とパン屋の経営
8月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART2)
7月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART1)
6月 6月10日は時の記念日
5月 FENWAY PARKの思い出
4月 お釈迦様と四聖諦八正道
3月 『起業5年目にあたって‐‐新たに知った事・新たな財産』
2月
『OFFSET BALANCE』(得たものと失ったもの) 
1月 『暴君の初夢』 

                      2003年

12月 『6歳のLADYに学んだこと 』
11月 『文化そして万歳三唱 』
10月 GOLD FINGER 荒木 敏明 君 』
9月 9月11日とイスラムの人々 』
8月 戦後と58年後の今日 』
7月 『三色旗ー自由,平等,博愛 』
6月 『JUNE BRIDE (6月の花嫁)
5月 『とつき十日の下宿屋の宿賃』

TOP