●2008年6月の風月譚 
節穴からのイタリア見聞


 楽しみにしておりました藤棚の花盛りもすでに終わり、今は新緑を重ね来たる猛暑に
備えているようです。

5月上旬にイタリアに行く機会がありました。
イタリアと言う言葉に思い当たることを羅列してみると、先ず

・ ローマ帝国と遺跡・美術館(ローマ&フィレンツエ)
・ バチカン市国とローマ法王
・ ミケランジェロとレオナルド・ダビンチ
・ スパゲッテー/マカロニなどイタリア料理
・ ファッション&ブランド商品
・ マフィア
・ トレビの泉とローマの休日
・ ランボルギーニに代表されるスポーカー
・ セリエAとトトカルチョ
・ 美食と歌と艶物語
・ 美男と女たらし
等が浮かびます。

 イタリア語はラテン語を母体とし,フランス語,スペイン語,ポルトガル語はその派生言語
とのことで、イタリアの学生は夏休みなど海外で過ごすことで、他国語を習得できるようです。
英語もまた,フランス語の影響を受けているようですからイタリア語からすれば
「孫」にあたるわけでなかなか興味のある分野でありました。
近年塩野七生の「ローマ人の物語」を読む機会がありました。
ローマ帝国の生い立ちなどに関心があり、単なる観光旅行だけではなく歴史を感ずる何かが
得られればと思って出かけました。当初、ハンニバルがローマ軍に大勝したトラシメーノ湖に
立ち寄る事と,シザーの「ルビコン川」なる所を尋ねてみようと思っていたのですが、
今回「ルビコン川を渡る」機会を見出せませんでした。
ハンニバルは今日のスペインから戦地に赴くのですが、情報を重視し、戦略に富む最も優れた
指導者であったことと、16年間母国からの援助無く現地で兵站(食料)を確保できた事に
不可思議な印象を持っておりました。
当時の戦争(2500年前)においては、待ち伏せなどは卑怯な戦法であった様でローマ軍は
そのことを予測が出来ず、尚且つ情報を重視しなかったことでローマ軍は大惨敗を喫した
湖畔でした。夜陰に隠れローマ軍の現れるのを待つハンニバルの気分を味わい、英雄気分に
浸るのもまた大きなロマンであります。
今は往時と変わらず穏やかな湖面と鳥の鳴き声に過ぎ去った歴史を感じることができました。
 ローマからフィレンツエまで車で北上したのですが、さすがに「すべての道はローマに通ずる」
というのか、昔から騎馬軍団の移動に適した道路が完備されているのには驚きを禁じ得ません
でした。
日本と大きな違いは、山岳地帯が迫ることなく広々としていることと、一つもゴルフ場が無く、
昔ながらの自然を満喫することが出来たことです。
山上を取り巻く城壁は,昔はここに都市国家があった事を示し、それがイタリア個々の特色を
醸し出していると言えます。
すべての都市には城砦があり、見晴塔そして教会がそろっております。
山上は安全ではありますが、「水」の確保は難題でしたが,土木工事の技術も必然的に発達
したようです。
上下水道のみならず、河の架橋技術もローマ帝国時代からと歴史が長く、当時の文明の
発信源であったことがよく分かります。
ローマとフィレンツエの途中にシエナという都市があります。
シエナは人口65、000人くらいの小都市ですが,フィレンツエとは長年敵対関係にあり、
今もサッカーの応援を通して垣間見ることが出来ます。
偶々、シエナの球場で公式戦が行われていた所を場外の立見席から、ピッチ5メーター位
垣間見たのですが、全員地元応援であることは間違い無いようです。
フィレンツエに行った際にもサッカー場まで行ったのですが、以前「バテステータ」という選手が
活躍し、銅像まで建ったようですが、移籍した瞬間破壊されたということで、サッカーへの思い
入れとイタリア人の持つ気性の激しさを伺うことが出来ます。
 イタリアは大理石の宝庫で,寺院などの建物から美術品まで様々な色合いを上手に使い
こなしております。
日本の木造建築の素晴らしさと同様、およそ人間業とは思えないような芸術品がたくさん
あります。それは、ローマ帝国のもたらした富の蓄積と、その後のメジチ家に代表される
金融商品の開発などによる巨万の富が、人類の遺産と呼ぶに相応しいものが随所に
感じ取れます。
 ローマで感じたことと言えば2,700年前の雰囲気が今も感じられる事です。
先ず言えますことは、街に信号が無いことと電信柱などが無いことで往時を容易に辿る
ことが出来ます。信号が無いのに車は渋滞することなく、円滑に流れるのですね!
これは驚き!交差点は大きなロータリーになっており交互に譲るマナーが身に付いている
ことに驚きます。ローマ人は自分本位で,相手の事など考えないのではなかったっけ!!
彼らの中には、音楽に似たリズムが流れているのでしょうか、日本人は何年経っても彼らと
同じようには出来ないことは、明らかですね。
 ガイドさんを通して現代世相を聞かせてもらいました。
イタリアは15年くらい働くと年金が支給されるということで,余り働かないこと。
更に、移民に対し他のEUに比べ厳しくないせいか海外からの移住者特に、ルーマニア人が
社会問題を引き起こす例が多いという事です。
特に若い女性が、40歳以上の既婚者に巧妙に接近し妻の座を勝ち取ることが頻繁に
起きているとのことです。
 イタリアはスリが多いといわれておりますが,イタリア人にしてみればそれは
「ロマーノ(ジプシー)」でありアフリカからの移住者が多いということのようです。
言われてみれば、日本にもスリがおりますし,朝鮮半島,中国大陸から出稼ぎにくる連中が
沢山いることを思えば、イタリア人にスリが多いとは言えないようです。
良く言われるように,売春は人類史上最古の職業といわれますが、スリもまた歴史の長い
ものなので、国を問わないことなのでしょう。
イタリア人気質を語る上で面白い話しを聞きました。
皆さん、入場に長い列を静かに守っている所に無断で「割り込み」をしてきた人がいま
したら、どのように対処しますか?

先ず思い当たることとして、

・ 怒り、最後尾に行くように警備員に話す。
・睨み付ける。
・無視し、知らぬ顔で黙認する。
位が思いつくことでしょう。

しかし,イタリア人の警備員は次のように話したそうです:
「そうか!そんな悪い奴は一番最初に入れて早く出してしまえ!!」
多分世界中でこの様に対処するのはこの国だけでないでしょうか・・・

 イタリア人にとっておいしい食事をし(Mangiare)、太陽の下で歌をうたい
(Cantare).何時も恋をすること(Amore)が人生の楽しみとの事です。
そう言えば亡くなったオペラ歌手L.Pavarottiの持つ雰囲気がイタリア人そのものでしたね。
(彼は美食家であり60歳で再婚し父親となる)
収入・生活レベルに応じて日々楽しむ術を知っているのも又、長い歴史のもたらす物なので
しょうか・・・イタリア人の食事の定番は「ピザ」ですが,それは日本のラーメンが最も近い存在で
無いかと思います。各地の特産品を加味し、風味の違いを楽しめるのもラーメンに似たところが
あるようです。
 現在の通貨はユーロですが、165円前後と極めて円が弱く食事するのも高価なものとなる
ことで、なかなかヨーロッパに足を向ける事の難しさを感じた次第です。
 私個人古代ローマ(帝政以前)の有り様は、最も理想的民主主義に近い体制であり、
国民も優れていたと考えております。その基盤をなす寛容の精神(Crementia=Clemency)を
体感するには節穴が小さすぎました。
人類の歴史上最長の栄華を誇ったローマ人の末裔を眺め、歴史のもつ遺産に感興を覚える
ことは大変有意義なことと感じました。
ぜひ若いうちに尋ねてみる事をお勧めいたします。
イタリア人は怠け者だなどと決して言えないこと、そして栄華を極めた人類の今日の有り様を
感じた1週間でした。
 
P/S
75歳以上は早く居なくなれというのか「この国に生まれて良かった」と思う人はどのくらい
おりますかね。ローマでは浴場とサーカス(闘技)が国民の楽しみであったようですが、
我々の楽しみは何でしょうか。
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2008年

5月 大阪 適塾・
4月 文明半開か・・・
3月 沈黙の螺旋(スパイラル)
2月 アメリカについて 三題
1月 2008年は中国の年?/くたばれ巨人軍


2007年

12月 2007年を振り返って
11月 忘 八(くつわ)
10月 ローマ人の物語(塩野七生著)
9月 出世の心得
8月 4年振りのマレーシア
7月 盛夏に向かって
6月 半世紀の時間
5月 ボストンのある一面
4月 4月は新年度
3月 四季の変化
2月 これは「美しい国」のやることか
1月 平成19年 新しい年を迎えて

  2006年

12月 一犬虚に吼えれば、万犬実を伝う
11月 この国の歪んだかたち
10月 2×125乗≒無限大
9  5年と5ヶ月
8月 イランそして「ペルシャのめぐみ」
7月  戌年の前半6ヶ月
6月  高山定美さん
5月 札幌への思い入れ
4月 「西宮」について
3月 谷口直之君の退職記念出版に際して
高校時代 と その後・・・
2月 GOOD BYE Mr.CHIPS(チップス先生さようなら)
1月 新しい年 平成18年

2005年

12月 酉年を振り返って
11月 トンカット・アリと6年
10月 NHKラジオ深夜便
9月 智と徳
8月 終戦60年-怒りそして悲しみと苦しみの中で
戦争遺児として私の一言
7月 上期4題
6月 椿ちゃんは2歳
5月 25回目にあたって
4月 4月は新たな出発の月=私の高校時代=
3月 故郷 札幌 昭和30年頃まで
2月
雪池忌によせて
1月 酉年にあたって

2004年

12月 平成16年を振り返って
11月 書物は知識の源泉
10月 故 野中 孝一さんと「SPIN トレーニング」
9月 ハインリッヒの法則(1:29:300)とパン屋の経営
8月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART2)
7月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART1)
6月 6月10日は時の記念日
5月 FENWAY PARKの思い出
4月 お釈迦様と四聖諦八正道
3月 『起業5年目にあたって‐‐新たに知った事・新たな財
2月
『OFFSET BALANCE(得たものと失ったもの) 
1月 『暴君の初夢』 

                      2003年

12月 『6歳のLADYに学んだこと 』
11月 『文化そして万歳三唱 』
10月 GOLD FINGER 荒木 敏明 君 』
9月 9月11日とイスラムの人々 』
8月 戦後と58年後の今日 』
7月 『三色旗ー自由,平等,博愛 』
6月 『JUNE BRIDE (6月の花嫁)
5月 『とつき十日の下宿屋の宿賃』

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