| ●2007年11月の風月譚 忘 八(くつわ) |
| 今年もまた鶴の飛来とか,百舌鳥(もず)の高鳴きの便りが賑やかになり、 また来春の手帳が店頭の真中に正座し、11月1日からは年賀状の発売が始まり 今年も残り少ない事を身近に感じる頃となりました。 ふと、自分の今日あること・出自に関し考えてみました。 そう言えば、5代前の喜衛ぇ門なる人が山形の東松山から明治の始めに胴巻き にたんまりと金子(きんす)を入れ一ヶ月ほど吉原に遊びに行った話しを 思い出しました。 「面白い所であった」と祖父が伝えてくれました。 江戸の吉原は京都島原・長崎丸山などと同様、時代の激動の中に決して表を飾る 存在ではないのですが、その時の主役に花魁が息吹を吹き込み、そしていつも 敵わない何か哀愁を残す場所であったようです。 時代小説を余り読まない私にとって,司馬遼太郎の「峠」の主人公河合継之介 が吉原に出入りしただけで、吉原の全容を知るすべはありませんでした。 今年度の直木賞受賞作品松井今朝子さんの「吉原手引書」を読んで多少、 吉原の実態を捉えることが出来ました。 今回の表題「忘八(くつわ)」は,この世界に生きる人々が、人としていきる 上で大切な八つの徳「仁、義、礼,智、忠、信、孝、悌」を忘れた人々の 生き様を表して下ります。 別名、「苦界に生きる」はこの世界、遊郭に身を置くことを示し、文字からしても想像を 絶する世界を暗示してます。 この遊女の世界にも格式というか序列があり、太夫(たゆう)、天神(てんじん) 鹿恋(かこい)、曳船(ひきふね)、局(つぼね)、北向(きたむき)と細かく階級が 決まっており、八つの徳を忘れないと生きていけない世界なのでしょう。 他方、名前の由来であるように馴染みの大店にとってこの隔世された世界に 遊びに行くことは,日頃の八つの柵(しがらみ)を忘れることの出来る別世界で あったようで「忘八(くつわ)」と言われたのも頷けます。 お気づきのようにこの八つの徳は「南総里見八犬伝」に出てくる八犬士が この八つの玉に関わる話しですが全く同じ物である事に気がつきます。 この本が発刊されたのは、1800年初頭であったようですが、この八つの徳 「仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌」は日本人の中に長らく根付いた ものなのでしょう。 最後の「悌」は年長者を敬う事を言い表しております。 儒教精神が根底にあるようですが、儒教の五つのものに三つが追加されて 八つになったようですが、私にとって定かではありません。 どなたか、御存知ありませんか? 吉原の世界を垣間見るに、花魁(おいらん)になる事に隠された時代背景 を覗くことが出来ます。 当時は田畑の収穫が目安であったようですが、実際は貨幣を持つ商人が 大名・武士を牛耳っていたようで商人に頭が上がらなかったようです。 喜衛ぇ門と同様,江戸の吉原に一見さんで大門をくぐると、なぜかお登り さんは「浅葱色」の裏地の着物を着ていたので『浅葱裏』と呼ばれたようです。 どの時代にも流行りがあり、またそれらが色合いを豊かにしたのでしょう。 吉原は限られた地域の限られた人々の世界で、外郭にいる人から見れば 別の世界で身請けする等は正面切った話しですが、この世から密かに抜ける こと等は「忘八」以下とみなされたのでしょう。 どの時代においても、この八つの徳は日本人にとっては大切なものなので あることに間違いはありません。 武士道精神の根底を築くのもこれに、深く関わっていることは明らかで あります。 前総理が「美しい国日本」を連呼するとき、この「南総里見八犬伝」の精神を 標榜したほうが分かりやすかったのでは無いかと感じます。 かなり時代遅れかも知れませんが・・・ 以上5代前の喜衛ぇ門なる人が吉原で何を学んだかは、定かではありませ んが、肥沃な東松山の地を離れ、北海道まで息子と渡った気心を何時も反芻 しております。 何故,北海道に行ったのか、いずれ会ったら訊いてみようと思っております。 P/S 今年はBOSTON RED SOXが3年振りに世界一になれました。 それにしても、松坂選手の勲章の素晴らしさは世界一に相応しいものと言えます。 甲子園の春夏優勝、西武での日本一、WBCのMVP、そして今回。 更に,打点2はベーブルイス、サイヤングについで三人目とか世界の野球史に 名を刻んだ事はまちがいありません。 彼の背負った素晴らしい人生が益々光り輝いて欲しいものです。 |
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| 2007年 | |
| 10月 | ローマ人の物語(塩野七生著) |
| 9月 | 出世の心得 |
| 8月 | 4年振りのマレーシア |
| 7月 | 盛夏に向かって |
| 6月 | 半世紀の時間 |
| 5月 | ボストンのある一面 |
| 4月 | 4月は新年度 |
| 3月 | 四季の変化 |
| 2月 | これは「美しい国」のやることか |
| 1月 | 平成19年 新しい年を迎えて |
| 12月 | 一犬虚に吼えれば、万犬実を伝う |
| 11月 | この国の歪んだかたち |
| 10月 | 2×125乗≒無限大 |
| 9月 | 5年と5ヶ月 |
| 8月 | イランそして「ペルシャのめぐみ」 |
| 7月 | 戌年の前半6ヶ月 |
| 6月 | 高山定美さん |
| 5月 | 札幌への思い入れ |
| 4月 | 「西宮」について |
| 3月 | 谷口直之君の退職記念出版に際して 高校時代 と その後・・・ |
| 2月 | GOOD BYE Mr.CHIPS(チップス先生さようなら) |
| 1月 | 新しい年 平成18年 |
| 2005年 | |
| 12月 | 酉年を振り返って |
| 11月 | トンカット・アリと6年 |
| 10月 | NHKラジオ深夜便 |
| 9月 | 智と徳 |
| 8月 | 終戦60年-怒りそして悲しみと苦しみの中で 戦争遺児として私の一言 |
| 7月 | 上期4題 |
| 6月 | 椿ちゃんは2歳 |
| 5月 | 25回目にあたって |
| 4月 | 4月は新たな出発の月=私の高校時代= |
| 3月 | 故郷 札幌 昭和30年頃まで |
| 2月 |
雪池忌によせて |
| 1月 | 酉年にあたって |
| 2004年 | |
| 12月 | 平成16年を振り返って |
| 11月 | 書物は知識の源泉 |
| 10月 | 故 野中 孝一さんと「SPIN トレーニング」 |
| 9月 | ハインリッヒの法則(1:29:300)とパン屋の経営 |
| 8月 | 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART2) |
| 7月 | 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART1) |
| 6月 | 6月10日は時の記念日 |
| 5月 | FENWAY PARKの思い出 |
| 4月 | お釈迦様と四聖諦八正道 |
| 3月 | 『起業5年目にあたって‐‐新たに知った事・新たな財産』 |
| 2月 |
『OFFSET BALANCE』(得たものと失ったもの) |
| 1月 | 『暴君の初夢』 |
| 12月 | 『6歳のLADYに学んだこと 』 |
| 11月 | 『文化そして万歳三唱 』 |
| 10月 | 『GOLD FINGER 荒木 敏明 君 』 |
| 9月 | 『9月11日とイスラムの人々 』 |
| 8月 | 『戦後と58年後の今日 』 |
| 7月 | 『三色旗ー自由,平等,博愛 』 |
| 6月 | 『JUNE BRIDE (6月の花嫁) |
| 5月 | 『とつき十日の下宿屋の宿賃』 |