●2005年2月の風月譚 
『雪池忌によせて


  2月3日は節分です。
関西では節分の日に恵方なる太巻きのお寿司をある方向に向かって一心にかぶりつく?
と満願成就するとの事です。
この方角も毎年変わるようで今年は西南西との事ですが,皆さんの所でこの関西の食文化は
如何ですか?
寿司屋さんが全国に普及を考えているようですが、ヴァレンタインのチョコレートのように上手く
行くでしょうか・・。
併せてこの日は、福沢諭吉先生の104回目の御命日(雪池忌)にあたります。
福沢先生で思い出す事といえば御存知
「天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らず」(学問のすすめの巻頭言)の言葉しか知ら
ないまま私は、過ごして参りました。

7年余前になりますが、ある会社のカレンダーに次のような文言を目にしました:
 
  一家は習慣の学校なり
  父母は習慣の教師なり

この文章は,教育の根底を成す家庭の重要性を謳っているものと感じております。
先生は「人倫の大本は夫婦なり」と述べておりますように、一家の中心である夫婦が
子供たちへの手本となる教育の最初の現場であることを,強調しております。
最近子供の事で何かと問題がありますが、自分の家庭のことはさておき,学校に社会に転嫁
する傾向がありますがこの2行の文面を1度じっくり考えてみてはいかがでしょうか・・
教育の大切さは「学問の独立」を謳う中で強調しておりますが、先生は明治15年におきまし
ても、学校教育の欠点として
  先生の不徳
  教書の不経(道理に合わぬこと)
を挙げております。
全く今日にも当てはまることといえます。
言葉を変えますと、草木はそのままでの成長は限りがありますので,最適な教師・教材が肥料と
して与えられなければ「修徳開智」は不可能な事と断じております
更にこの言葉の中に「習慣」という文言が核心となっており,この習慣の意味することが
気になり始めました。
起床後洗顔をし,朝食を取ると言った規則正しい日々の無意識での行いとは一寸違うのでは
ないかと感じたわけです。
習慣の表示のある文章を探しました所「文明論の概略」に次のような文章を見出しました:

 財を積みて散する
 積は即ち散の術なり
 散は即ち積の方便なり
 財を蓄積し又これを費散するには,その財に相応すべき智力とその事を処する習慣なかる
べからず。
理財の智 理財の習慣

前3行を今流に言いますと
蓄財した資産を投資する
資産は投資する源泉であり
投資は即ち資産増加に使う上手いやり方

この文章は,家庭・教育の問題より広い意味で「習慣」を取り上げております。
起業する人々に是非送りたい文章でありますが、経済・社会の仕組みを十分理解し(拡大)
再生産を計り資産を活用しようとする際には、この「習慣」の意味することを良く考え、自分の
蓄積した実力と、対応可能である経済環境であるかを常に判断基準とする「習慣」が必要で
あるではないかと感じております実を言いますと私自身この「習慣」を持ち合わせなかった
ために大変散財をする羽目となりました。
事業,会社が進化するためには,従来の踏襲では枠を脱皮できないのですが,どの分野に
優先度を付けて着手するか,それの相互補完性はあるのか,勝算はどの程度なのか,万が
一失敗してもその影響はどの程度なのか,どのくらいの期間で現況に復帰で出来るのか等,
総合的に判断する上で「智力」が必要であり、更に周囲を取り巻く環境の支援を得られる
自分自身の「徳目」を積み重ねることで、「習慣」を身につけ、日々進化しなければならない事
ではないかと私なりに、この「習慣」を理解しております。
この「習慣」に関し何か思い当たることがありましたら御連絡ください。
習慣」を創り出す原点は、やはり教育に基づくものでありますが、先生は教育の目的を次の
ように述べております(教育の目的)
教育の目的は、
人生を発達して極度に導くなり。
そのこれを導くは何のためにするやと尋ぬれば、人類をして至大の幸福を得せしめんが為なり
その至大の幸福とは何ぞや。
ここに文字の義を細かに論ぜずして民間普通の語を用うれば天下泰平,家内安全すなわちこれ
なり。

最後に慶応義塾の校章はペンでありますその由来は

 Cedant Arema Togae

Pen is mighter than sword

文,良く武を制す。

これに関わる話しですが,今から46年前に昭和天皇の御臨席を仰ぎ100年祭を行うにあたり
パンフレットの表紙にこの英文を記載したのですが、PENとISの間隔が無かった(Penis)ので
急遽刷りなおしをしたという話しを耳にしましたが事実なのか,好事家の作った奇話なのか定か
ではありません。

慶応義塾には福沢研究センターがあります。
所長の小室正紀経済学部教授が福沢先生を評し下記の文を引用しております

 時代が巨人を生み
    巨人は時代を言葉とし
          言葉は時代を動かす

150年前の文章が今日でも清新な緑風を与えてくれ、精神(こころ)が浄化される楽しみを
感じます。

P/S
1月から司馬遼太郎の『街道を行く』が発売となりました。
全50巻、毎週1回発売で今年1年の楽しみがふえました。
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